2018年7月30日月曜日

坂城町の千曲川に掛かる大型のRCコンクリートローゼ橋を訪れる

スズキのバーディに乗っていた頃だからもう10数年前。埼玉から原付で遠くまで行こうと言う企画での目標地点がこの橋であったのを懐かしく思い出す。

坂城界隈を散策していると非常に気になるこの橋。国道18号に面しているのですぐにわかる。昭和橋。

RCコンクリートローゼ橋というカテゴリーらしいが、つまりはコンクリートでできたアーチ橋の一種である。現在ではコンクリート橋はPC構造のものが殆どであるが、この世代の橋はRCつまり一般的な鉄筋コンクリートによる構造である。PC橋に比べてヒビ割れ劣化が早く、取り壊されたりして現存するものは数を減らしているが大きな河川を跨ぐ大規模なものから、山間の小橋まで長野県に多い特徴的な橋である。

昨今は、一昨年の大ヒットアニメ「君の名は」で三葉の通学路として出てきたRCコンクリートローゼ橋のプロトタイプを探す聖地巡りの方が、ここを訪れる事も多いようである。ちなみにアニメに出てきたものはもっと山間にあるもので小型で欄干の形が違うようで、小諸市界隈のものがそれではないかとの話もあるようだが、つまりはこのコンクリートローゼ橋は長野県の典型的な情景とも言えるようである。



昭和橋は市街地、石油タンク群のある坂城駅から国道18号へ出て長野方、千曲川の方へ向かってすぐである。安曇野市にもこのような橋があるのだが、大きな河川を跨ぐ橋は架け替え対象となってしまう事も多く、また、歩道橋として残っても新橋との距離が異常に近くて撮影が難しい、順光、逆光の問題、そして、水道管など追加設備が架設されているなど、被写体として難しい事が多い。

昭和橋も長野方、下流方面から見ると水管橋と思われるものが、トラスに収納されて架設されているが、展望の良い上流側から見るとオリジナルの姿を良く残している。ちなみに、この橋は南北方向に向かって掛かっているので午前順光で良好に撮影する事ができる。



橋の内部はこんな感じになっている。アーチが影を落とすので独特な雰囲気である。上部に吊り下げられた照明の配線が径間上部渡っているのも独特。夜は更に独特な雰囲気となる。道幅はご覧の通りで、普通車同士のすれ違いもギリギリな感じである。トラックが来ようものならもう...。

前回10年程前、訪れた時は、上部からの崩壊落下物があるようで、劣化したコンクリート独特の危険を感じたが、昨年に長期に渡って閉鎖して補修したようで、補修の痕の白いコンクリートが痛々しいが、だいぶ安心して渡れるようになったようである。

邦画の情景的なシーンに出てきそうであるが、前述のように、最近のものでは「君の名は」で出てきたシーンが有名なようである。




昭和橋遠景、暑い日が続いていたが、サラサラと流れる千曲川が涼しさを誘う。昭和橋の坂城側の入口へは、鉄道の場合しなの鉄道、坂城駅から歩いて15分程。自動車の場合は昭和橋付近の国道18号が狭く停めるスペースがないのであるが、すぐ上流の坂城大橋の坂城側の傍に駐車帯があるので、そこから歩いて5分ほどである。
長野県に多いRCコンクリートローゼ橋の中でも中島武氏が設計し、現存しているものは平成14年度の推奨土木遺産として登録されているようでhttps://www.jsce.or.jp/contents/isan/blanch/4_4.shtml
他に5橋。やはり長野の情景に良く似合っている橋として興味深い。

豪雨の多い昨今、千曲川も大雨の後は茶色の濁流となって姿を変えてしまう。この手の橋は宿命的に洗掘による橋桁の崩壊が心配であるが、いつまでも昭和の雰囲気を伝え続けてもらいたいものである。


2018年7月24日撮影
(いずれもα7III+SONY24-70f2.8T*)




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