2017年4月20日木曜日

桜咲く善光寺平

前回、雨とドン曇りで不完全燃焼に終わった長野電鉄への旅であるが、転んでもタダで起きぬわけにはいかない。信濃竹原の鉄橋で撮影した際に木々に提灯が下がっているのに気づき、桜並木だという事が分かったのであるが、その日は、雨な上に、桜もまだかと落胆したのだが、それから一週間、休日の日が雲が多いながらもなんとか晴れ間が覗いてくれた。計算では、桜がほぼ満開に近くなっているはずであったが、今回は車で現地に乗り込んでみて、果たして。桜はちょうど満開になりかけであった。

いざ桜並木を見てみると、数種類の桜が混じっているのか、撮影の時手前に入る方の桜が寂しく、想像していた構図とだいぶ違っていたが、川向うと、駅側と、撮影できるバリエーションが非常に多く、午前中だけの予定だったので、アッという間に時間を消費してしまった。午後からはドン曇りのようだし、今回は腰を据えて、バリエーションを変えて、ここで撮ってみる事にした。



撮影順序的には一番最後であったが、今日一番の当たりカットだったので扉に持ってきた。信濃竹原の駅から鉄橋の方へ向かって歩いて行く道沿いから。桜が咲いていない時期は殺風景な下り坂であるが、桜が咲いてると一変、山並みをバックに湯田中から元小田急ロマンスカーHiSE車の、1000系特急「ゆけむり」が坂を下ってきた。午前11頃を境に湯田中から長野方面へ向かってくる列車が順光側となる。


長野電鉄 夜間瀬-信濃竹原
α77+MINOLTA 80-200F2.8 HIGHSPEED APO



続いてこれが最初に撮ったカットなので順光側が入れ替わって、鉄橋の湯田中側からのショット。午前の早い時間は湯田中方面へ向かう列車が順光となる。湯田中へ乗り入れる最初の特急が元JR253系成田エクスプレスの2100系特急「スノーモンキー」編成でやって来た。午後から曇り予報が出ていて背景の山が見え隠れしていたが、逆に主張しすぎずに手前の桜と列車が主張されて、春霞っぽい感じが出た。



長野電鉄 信濃竹原-夜間瀬
α77+MINOLTA 80-200F2.8 HIGHSPEED APO

桜並木と3500系。このカットでは、もう少し山塊がハッキリとして欲しかったが、これでも、時折スッポリと雲に隠れるコンディション下ではラッキーだった。3500系は元営団地下鉄日比谷線の3000系の車両で、車両性能の関係から、信州中野-湯田中の山岳区間で運転される。



長野電鉄 信濃竹原-夜間瀬
α77+MINOLTA 80-200F2.8 HIGHSPEED APO

土手上から真横を狙ってみる。築堤に盛土がしてあるのが、少々難点なのであるが、車体に桜並木が透過して人影が透けて見える。窓にスモークの入っていない3500系の方がシルエットが出やすいが、ピントを外してしまった。


長野電鉄 信濃竹原-夜間瀬
α77+SONY 24-70F2.8T*

一通り撮影して、午後からは本当に厚い雲が垂れ込めて来たので、早々に引き上げた。今年の長野市界隈の桜は、撮影した2017年の4月20日は信州中野界隈が満開で見ごろ、須坂まで下って、旧屋代線沿いに松代城跡まで行くと散り始めといった感じであった。





2017年4月12日水曜日

長野電鉄でゆく、湯田中温泉、鉄道撮影旅行の旅


「地方私鉄は乗って育てましょう」と言われても、不便だったり、乗っていては撮影が難しかったりするものであるが、今回は乗り鉄をしながら撮影旅行へ行ってみる事にした。しかも、たまには宿泊付きで、湯田中温泉へ。

旅立ちは長野駅から。15:37発のA特急「ゆけむり」に乗る。北陸新幹線長野開業時に寺院風の駅舎が取り壊された事が、風情が無くなったとなげかれていた善光寺口であるが、北陸新幹線開業で、木柱風のデザインの庇が完成して、金沢駅前とも似た現代美術的なトラディショナルなイメージ(何だそれ)な感じに、再び面目を一新した。「ゆけむり」は元小田急ロマンスカーHiSE車を使用した1000系特急列車で特急料金100円がかかる以外は展望席も含めて自由席。ちなみに元JR253系成田エクスプレスを使用した車両は2100系「スノーモンキー」と呼ばれており、こちらには元グリーン個室が残されており、予約制の個室として「Spa猿〜ん」の愛称で1室1000円(特急料金別途)で利用できる。


今回は「ながでん・バス2DAYフリーきっぷ」で出かけてみる。これは長野電鉄の鉄道線の特急を含めた全線と長電の長野エリアのローカルバスに乗車できる。3200円と往復の料金より高いが、撮影しながら乗り降りをすると料金がかかるのと、帰りは屋代線の代行バスに乗って帰ろうと思っていたので、フリーきっぷにしてみた。ちなみに鉄道線のみ2日間乗り放題の「長電フリー乗車券」は往復運賃で元が取れる2320円で特急料金は別途である。


40分ほどの乗車で湯田中駅へ。せっかく湯田中へ出てきたのに生憎の雨模様。反対側には古い駅舎が残されているが、こちらの現役の駅舎も昭和の高原ブームの頃の雰囲気をよく残している。列車が到着すると往年の名歌「美わしの志賀高原」が流されていた。この歌、かれこれ30年前(年齢がバレる)小学校の林間学校で志賀高原に行ったときに、バスの中で添乗員のおじさんwが歌っていたのを思い出すが。いやはや、なんとも、更に昔の1960年代の志賀高原のブームの時代を思い出す。


外国人観光客が多いからか、湯田中温泉の価格設定は平日にも関わらず高めだった。「じゃらん」で、平日直前プランなるもののがあったので、申し込んでみたら、値段の割に部屋がクラシックなので「むむぅ」となったが、食事は今度は値段に対して良い物が出てきた。エコプランみたいで、布団の上げ下げは「セルフ」。このタイプは初めてだ。泊まっている人もやはり外国人、それもアジア系ではなく西洋系の人ばかりである。一人旅向けプランって言うが、隣室に泊まっていたのは、ヨーロッパ系と思われる年配のご婦人の一人旅だった。


翌日は撮影をしながら移動してみる事にする。2日間有効の特急とバスが使えるフリーきっぷで来てみたが、10時になるまで、湯田中に乗り入れてくる特急が無い。宿でゆっくりしてから長野へ戻るパターンならそれでも良いのかもしれないが、朝食後早々に長野へ向かって善光寺等へ行こうとすると特急が無いので、各駅停車となる。そのかわり早朝時間帯の列車は長野へ直通する列車が多いようで、この列車は、信州中野で特急に接続した上に、時刻表上は運用が分かれているが、列車そのものは15分ほど停車した後、長野まで直通する。車内はほとんどが外国人といった様相である。

さてしばし停車した後、列車番号を変更して列車は長野へ向けて出発したが、信州中野の先、桜沢で降りてみた。まだ雪渓をいだいた、山塊をバックにした写真を撮ろうと思ったのであるが、昨日の雨に比べればまだ良いが太陽は出たり入ったりで、光線状態は良くない。列車を降りてまずは手近な踏切で。折り返し湯田中始発となる特急が「スノーモンキー」でやって来た。

長野電鉄 都住-桜沢
α77+SONY 24-70F2.8T*

続いて普通列車。元、東急田園都市線8500系車両を使った8500系電車がやって来た。長野-信州中野間では8500系3両編成がメインである。この車両は勾配抑速ブレーキがついていない関係で湯田中には乗り入れない。この区間ではそこそこの本数があったので、この場所で何カットか撮ってみたのだが、車体に帯が入っていない関係のステンレスの光り方加減もあったのだろうか、こちらの側からは半逆光のはずなのであるが、このポイントではこちら側の方が色乗りが良かった。

長野電鉄 都住-桜沢
α77+SONY 24-70F2.8T*

フリーきっぷの利を生かして、信濃竹原まで取って返す。ここは鉄橋を渡ってくる列車が撮れる有名なポイントであるが、ここに来る頃には、空模様が怪しくなってきて、ぶ厚い雲が配給されてきて太陽が陰ってきてしまった。この時間に戻ってきたのは11時を過ぎると湯田中から鉄橋を渡って来る列車が順光となるのであるが。まずは元営団日比谷線3000系を使用した3500系列車を撮影。長野オリンピックに向けた主力車として導入されたが、8500系の投入や屋代線の廃止で勢力を減らし、信州中野-湯田中間の山岳区間における折り返し運用をメインとしている。

長野電鉄 夜間瀬-信濃竹原
α77+SONY 24-70F2.8T*

湯田中から戻って来る特急を撮って帰ろうかと思ったが、特急が来る時間には、いよいよ雲が怪しくなってきて、4月だと言うのに、みぞれが舞いそうな空気になって来た。交換駅が近いので、非常にゆっくりとした速度で「スノーモンキー」がやって来た。背景の山が雲にかくれかかっているのもさることながら、光線の弱さに、春というか冬のような寒々とした画となった。

長野電鉄 夜間瀬-信濃竹原
α77+SONY 24-70F2.8T*


あまりにも寒いので、引き上げて須坂へと足を進める事にした。須坂からは2013年に廃止になった屋代線の代行バスで屋代へ出て戻る。須坂では30分ほどあったのであるが、蔵の街並みまでは歩くと結構ありそうなので、30分のインターバルでは中途半端。何か飲食店はないかと駅前のデパート風のビルを覗いて見ると、何と白看板になっていて、建物の上部分は閉鎖。隣に「イオン」があったが、イオンならちゃんとしたフードコートくらいあるだろうと思ったが、ここも心躍るような店がなく。いやはや、長野電鉄の車両基地のある駅だし、何しろ長野市の隣の都市であるのにこの寂しさは何だろう。ウロウロしているうちに昼飯を食べ損ねたまま、屋代線代行バスがやって来た。



長野電鉄屋代線は長野電鉄の車両基地のある須坂から、しなの鉄道(旧信越本線)の屋代までを結んでいた線で、かつては河東線というのが正式名称であった。廃止には紆余曲折があって、LRT化などの議論もされたようであるが、結局廃止されて長電バスによる運行となった。長電バスによる運行であるので、フリーきっぷにて乗車ができる。


代行バスは上信越道と旧屋代線に沿いながら国道403号をゆく。廃止から4年ほどであるが、線路敷は急速に整備が進み、早くもサイクリングロードなどに生まれ変わっていたり駅跡では再開発が行われていたりする。旧駅舎が残っている場所も多く、バスも国道から一旦、逸れて駅跡に停車する。それが、所要時間を引き延ばしているようでもあり、また道も狭小であり、須坂から屋代までは途中、旧松代駅で乗り継いで、1時間半程かかる。

ちょうど高校の下校時間と重なったためか、松代からの区間では、バスにしては乗車率の高い、立ち客で満員となった状態で、しなの鉄道の屋代駅に到着した。

去年からの雨男傾向からまだ脱してないようで、今回も初日は見事に冷たい雨。撮影に回った翌日も、雨天の中の最悪な状況は避けられたものの、撮影成果的には、はかばかしくないものとなった。長い信濃の冬は終わりつつあって、木々の蕾は膨らんで来ているようであるが、開花はもう少し先のようであった。