2022年6月10日(金)(2日目)
区切 予讃線国分駅 6時30分発
国分駅に戻って来た。ここからスタートする。ここで何を血迷ったか、足への負担を考慮して、元来た道を戻り出した。本来の遍路なら、国分寺裏から遍路道を登るのだろうが、1km〜2km長そうだが、松浦寺まで戻って、表参道の車道を登る事を選択。
まずはこの選択で、ババを引いた事は1kmちょと歩いて思った。もう戻るに、損は確定だし、これはそのまま行くことに。仕方ないので11号を戻り、加茂のあたりから通常なら遍路道に指定される集落道に入る。ちなみにこちらは自動車での遍路の推奨ルートである。
ここが結構距離があり、参道の入口の松浦寺前に着いたときには、8時20分。
道の選択も間違ったのか、よほど憔悴していたように見えたのか、歳の頃同じくらいの若いお兄さんが、愛犬の散歩に出ようとしたところ
「ちょっと待って、お接待するよ」
とお声がけいただき、家に戻っていった。悪いなと思いつつ、お接待は断れないルールであるので待っていると、ペットボトル2本とお菓子をお接待いただいた。今回は天候もあるのか、皆さんやさしくしていただいている。お兄さんのお母様も出てきていただき、小休止、
「昔は、この参道をどんどん観光バスが登っていったのに、最近はお接待しようにもお遍路さんに会うだけでも大変なんですよ。」
との事、確かに、ここは本来自動車の通りだろうけど、実は僕の前に1人居たのだが、この道を選択する歩き遍路の方が居ない事も無く、少なくなったとボヤきは昨日も聞いたけれども、この後、色々な所で聞く事になる。
お接待をいただき参道に入ると、勾配がきつくなる。シマッタ舗装されているけどキツい。これは距離の短い遍路道からアクセスした方が正解だった。
しかしながらこのショット
瀬戸大橋を望む景色は最高。少々高松市内を覗いてここは坂出が見渡せる場所。ドローン屋稼業をしているが、俯瞰で瀬戸大橋を撮るとなったら、こういった場所から望遠で狙うのが正攻法かな。
前日は予定どうり、こなした足であるが、どうも、この上り坂はきつい。それでもブレーキになる事もなく。
81番白峰寺
9:40着
10:10発
このお寺は崇徳天皇陵の隣にあり、宮内庁が管理する厳重な区画もある。こういう所に来るとYoutubeで色々教えてくれるのがGoogleシステムなのだが、明治からの天皇を覗けば、近畿以外に陵墓がある少ない、配流で、この地で生涯を終えた不遇の人生。詳しくはお調べいただくと勉強になる。天皇寺もそうであるが、神仏習合の名残、お寺と神社が合わさっている所は多いが、ここは立派であり、なおかつ陵墓であるから、荘厳である。
小休止し、五色台を縦走し、82番根香寺へ向かう。五色台は一度上ってしまえばプリンみたいな丘陵であり、丘の上のアップダウンは少ない。それでも、時速2km〜3kmくいらいに落ちているようであり。どうも足の具合が悪い。前回のように歩きすぎで太ももの筋肉を痛めたのではなく、靴が合わないのかもしれない。こういう時は、次は高松で都市部なのだから、ABCマートでも探して買ってしまって吉なのである。こういった場合自分のような細切れの区切り遍路では、我慢してしまい、結果、面倒だから、次の行程まで靴を買い換えないといった、事をやらかしてしまうのであるが、そもそも、靴に問題があったのは、愛媛ステージの久万高原の時に、トレッキングシューズからトレイルランニングシューズに変えたのがいけなかった。
前回やっていた快速遍路の人たちは、トレイルランニングシューズで山を「走って」いたから、ただ単に合わないだけなのかもしれないが。何しろ足の内側が、擦れるので、これは、通常なら靴屋を探して変えるのが遍路のセオリー。今回はテーピングを手に入れて、残り4日の行程をどうにかする事にした(結果なんとかなったのだが)
途中、両手ストックの快速遍路さんとすれ違い。こちらが牛歩の歩みで歩いていると、根香寺の直前で追いつかれてしまった。
「だいじょうぶかい、具合悪そうだよ」
確かに、50過ぎの人もシャキシャキ歩けるこんな所で、まだ40も半ばの人間がユックリ歩いているのだからそう言われても仕方ない。どうもこの人、北海道から来たようで、今回で3回目という事。菅笠に金剛杖ではなく、両手ストックの軽装だから、今流行の快速遍路かと思ったが、普通の遍路のようで、
「鉄道と平行している所は、どこか1箇所に連泊して、荷物預けて、軽装で、行ける所まで行って電車を上手く使うと無駄が無いんだよね、何しろ軽くて歩きが早いよ」
との事。おお、なんと、自分と同じような手段でこの愛媛〜讃岐ステージで鉄道を上手く利用している人が居るんだと。確かに遍路宿をどんどん取っていく手法だと、1日を無理する事なく、朝早く出させてもらって15時には入るくらいの余裕で宿を取っていかないと、宿の人に迷惑をかけてしまう。その点ビジネスホテルでは、気遣い不要であるから、夜まで無理歩きなんかもできる。これは野宿にしてもしかりである。北海道氏と一緒に根香寺着
82番根香寺
12:3,0着
12:50発
根香寺を13時前に出るとしたら、ひょっとしたら83番を打っても、ホテルでゆっくり、できるか。甘い予感がよぎった後、はて、?どのコースで降りようかなと、北海道氏に尋ねようとしたらすでに姿が無い。
シマッタ快速で出られてしまった。
ここで今日、2度目の過ちを犯すのだが、一旦五色台みかん園まで元来た道を戻って鬼無に下りるのが正解。それが、どう遍路地図を見間違えたのか、そのコースでは遠いように見え、香西寺経由で下りるルートを取ってしまった。
この遍路道が酷い。前述の通り、メインルートではないので、まるで低山登山の下山のようなガレた、急斜面の下り坂で、所どころ、藪になっている。例によって、完全な道間違えではないから、ある程度歩き始めてしまうと、戻るだけ損。これも「お大師様のご縁と教えだろう」と、すでに、足にきているのを耐えながら、高度計アプリ(CommanderCompass)で高度がどんどん下がっていくのだけを心のよりどころに歩いて行く。
それでも急場を下りるのは1時間だった。13時50分には人里に着いた。
しかしここからが地獄だった。どうやら五色台の本当の高松の駅よりに下りてしまったらしく、明日の行程から考えると馬鹿らしい、12km近くを戻らねばならなくなった。よく地図を見れば、鬼無の所に根来寺から2.9Kと記載がある。そしてここは山を下るには時間は短かったが、1.5kmくらいしか歩いていない。さらに悪い事に、途中、讃岐の人はやさしく、せっかく、香西寺までの道を教えてもらったのに、香西寺のさらに港よりに下りてしまった。道路の看板には一宮寺17kmの文字。時間は14時30分。気が遠くなってきた。一体何を間違えれば、15時には宿につけそうなんて思ったのだろう。確かに、山を下りてすぐ。ならそうであるが、山を下りてから、ここは寺の打ち方が難しい。ひょっとしたら、順番どうりに拘らなければ、香西寺に下りるなら、80番の国分寺から83番まで往復してから、五色台を下りれば、屋島まで近いと。ここの周り方は、順番どうりに拘らないなら色々ありそうだ。
とにもかくも、歩くしか無い。まずは鬼無の分岐点が遠い。ロスった香西寺まで2km近く歩き、高松貨物ターミナルの脇を抜ける。ここで地図をちゃんと見て、貨物ターミナルの先で予讃線を1回くぐって、キナシ大林病院の先を右折。本来なら遍路地図に書かれるであろう裏道を歩いて行く。このあたりで16時過ぎ。だいたい、最後に打つ寺の到着時刻の予定に入れる時間である。この時点で、83番一宮寺は明日の朝に打つことは決定。今日は、必死に歩く事にする。
鬼無をすぎたあたりで、地図の遍路ルートの6.7K地点と合流し、残りがおよそ6Kと推定。この時点で16時30分。時速4kmの歩みなら、宿に着くのは、18時と推定である。鬼無からは香東川の河川敷公園を歩いて行く。かかる橋を1本2本、と数えながら歩くのがしんどい。犬をつれた人に親切に道を教えてもらう。
「あの高速がかかってる大きな橋の先、3本目を上って左ね、まだまだだよ」
30km近く歩く羽目になって、なんか気持ちが折れそうになるが、観音寺の悪夢ほどは足に来ていない、これはいける。県道12号に上って香東川の橋を渡り、信号5個を経て天然温泉きららには18時20分到着。河川敷公園で心が折れて、休止したのが響いたか、時速4kmや出ていなかったようだ。
ここは先人のブログでお勧めだった場所で、83番一宮寺の至近の宿。83番を打ち終わったら、それで泊まれば良いし、打ち損ねても早朝に出れば良いで立地が良い。本来は健康ランド的な温泉施設なのであるが、宿泊ができる。利用システムがちょっと複雑で、健康ランドのほうでチェックインして、別館になっている宿の建物に入る。どうもこの別館、独身寮を改造したようでアパート風であり、部屋ごとのポストなんかもついている。
天然温泉きららの部屋はツイン仕様の不思議な部屋これは金剛杖ホルダーかな遍路宿なら床の間があったりするが、ホテルでは困る金剛杖の置き場所失敬にならぬよう大抵は机の上とかに立てかけるのだが今回はホルダーを利用。
近くにガストもあるのであるが、今日はだいぶつかれていたのと、このチェックインシステムなので、小銭をもって、健康ランドの建物へ行って、ユックリと温泉につかり、施設の食堂で夕食をとり、今日を終える事にした。
明日の予定であるが、今日30km歩いて、この程度の疲れなら志度まで行ってしまうのではないかとも思う。ただ、観音寺の悪夢。雲辺寺越えは一気に超えたものの翌日の足に出てしまったから。八栗辺りで切った方が無難なのか。結願がもう見える所まで来て、どうしようか。日程としてはじゅうぶんに余裕があるので、これはお大師様の声にしたがって、自分の体の具合に任せる事にした。
泊 天然温泉きらら 18時30分着
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