2022年7月1日金曜日

(1)琴電長尾駅〜88番大窪寺

2022年6月13日(月)(5日目)

区切 琴電長尾駅6:50発

 序章のとおり、順打ちを結願からたどるという特殊なブログ。後ろから読むと全体像が見える。ちなみに写真を撮りながら歩くと、凝ってしまい、時間を消費するという教訓を発心の徳島で得たため、ほとんど、文章ベースになってしまうが、基本は、へんろみち保存協力会編の四国遍路ひとり歩き同行二人をご覧いただきながらたどると参考になると思う。

 志度から、一気に大窪寺へ向かおうとして挫折した前日。何しろ「結願第一で無理をしない」というのが今回のポリシー。しかしここからは、琴電もJRもなく、あるのは、さぬき市のコミュニティバスのみ。10時と14時それと16時に大窪寺を出る便のみであるから、ここは歩き切らなければならない。

 昨日は一旦、長尾から高松市内に戻り、連泊していた瓦町のアパホテルから、瓦町発の琴電の始発に乗る。6時15分。地方では標準的なのだが、こう結願するとなると、少しでも早く、長尾に着いておきたかったとか、現地の宿にしておけばよかったとか、たらレバが続くが、仕方ない。

出発6時50分。長尾駅を出てしばらくは平地を歩く。ここで、お約束。歩きでの1時間あたりの歩行時間計測。通勤の自動車が飛び交う道を、無理なく、かつ早く歩き、県道3号がクランクに曲がり、休憩所を過ぎて大石のバス停まで。ここで7時50分。道を間違えて500メートルロスをしたが、この分だと休憩しながらでも、1時間あたり4kmという自分の標準は確保しているようである。 

ここで少々、往来のきつい県道から遍路道にそれると、おじさんに声をかけられた。

「お遍路さん早いね、昼にはじゅうぶんに着くから、お遍路サロンにでも寄って休んで行くと良いよ」

と声をかけられた。地元のお年寄りに言われる時間的距離はだいたい合っている。この区間15kmであって、残り11kmを考えれば、歩行速度が落ちなければ、3時間である。ただ、大窪寺までは県道ルートでも、標高400mから峠を320mまで下って、450mの大窪寺に至らなければならない。慢心が招いた、観音寺の悪夢がよみがえり、本当にこの足は大丈夫なのかと心配になる。

 そうこうしているうちに前山ダムが過ぎ、お遍路サロンに到着。事前のリサーチでも寄っていくと良いと言われたし、途中で会った北海道さんも寄っているはずだ。お遍路サロンに到着は8時15分。ほぼ8時の開館(実際は7時半から空いている事も多いようである)であるから。開館直後。1番客のようだ。ボランティアと思われるおばさんが、お茶とお菓子を出して、いただいゆっくり休む。ここで書くアンケートが皆が言う、遍路大使のデータになるので、慎重に記載する。事前にリサーチしておいてよかった。遍路大使への任命書が出るまで、館内を見たり、ゆっくりしていたら8時45分。休憩は30分だった。



前山ダムをすぎてすぐ、左岸、山に向かっては右側、お遍路サロンは朝8時から


遍路大使の任命書
第1050番、区分は、壮絶な区切りながら「徒歩」


 礼を言ってお遍路サロンを出る。おばさんに、どのルートがいちばん早いかと聞くと、県道も、花折の遍路道も実質時間は違わないから、少し戻って花折の遍路道を歩くと良いとの事。地図で、見るときつそうなのだが、全部舗装されており、ダンプが多く歩道がない県道をおっかなびっくり歩くより良いとの事だった。せっかくの遍路道なのだから女体山ルートが絶景でお勧めなのだが、今日は尻の時間が完全に決まっているので安全パイ。大窪寺で時間を取りたいので、なるべく早く着くルートを選ぶ。ちなみに、みなさん大窪寺まで何時間くらいで歩かれますかと聞くと

「3時間とちょっとの方が多いですよ」

との事だった。ブレーキがかからなければ良いが。

 お遍路サロンから少し戻り、花折の遍路道に入るとなるほど、細いながら、舗装されていて、車が来ない。先人の記事によれば、ダンプが来るとの話で、途中途中に待避場があったりするが、平日なのに稼働していないのか、結局ダンプはおろか車1台すれ違わなかった、マイナスイオンたっぷりの気持ちのいい道だ。CommanderCompassを見ると今さらながら、時速表示が出ている事に気づく。最初は高度が知りたくて、上昇率と降下率だけを気にしていたが、表示を見ていると、時速3km/hと4km/hの間をいったり来たりしている。これは恐らく休憩すると時速3km/hという事であろう。残り11キロで3時間という事はやはりユッタリあるいても間に合うだろう、時計を見ると標高300mまで登って9時15分。これは大丈夫だろう。ここの時点でやっと少し安堵の気持ちが走った。


花折の遍路みちはマイナスイオンたっぷり。女体山を経由するのでなければ、このコースがおすすめ。

 花折の遍路道を過ぎて県道と合流して9時15分。ここからは車通りの多い所を歩くが、危ないからと、横の遍路道に逸れると、未整備区間が多く、草にはばまれ大幅に速度が落ちる。なんだか香川県はこんな事が多い。遍路道の札が出ているのは有り難いが、排ガスが舞う県道を逸れて、遍路道に逃げたら草や虫にやられたりを繰り返しながら、10時30分には天体望遠鏡博物館がある分岐に到着。

 普段は産直の会場なのだろうが、今日はお休みのようである。トイレを借りて小休止。ここから先は国道377号となり、歩道もあり、整備されている。歩行速度を見ると4km/hと5km/hの間を行ったり来たりしている。

「おお、坂道でも標準速度が出ている」

足の具合が良ければ、ゆるやかなアップダウンであれば、標準速度が出るようである。

お食事処の竹屋敷で、11時13分。これは時間に間に合いそうだ、思わず、腹も減ったし飯を食いたくなったが、結願優先、結願優先。竹屋敷の先で川の反対側に出て、車通りの少ない平行道路をゆく。ここも舗装がされていて、歩きやすい。

 そして12時ちょうど。なんと都合の良い時間であろうか。結願の地。大窪寺に到着した。

88番大窪寺
12:00到着


 結願の地であるから、丁寧に読経し、ゆっくりと伽藍をまわり。納経をし、結願証書もどうしようかと思ったがせっかくなので、いただいた、2000円。大量の杖が納められたお堂を見ると自分も杖を納めたくなったが、金剛杖は、自分が彼岸に旅立つ時に棺に入れてもらいたいと思って歩いて来たので、この初回の歩いて回った金剛杖は家宝として、床の間に置いておこうと思っていたので、代わりに菅笠を奉納。これも回向料がかかったが、大窪寺には何か置いてきたいと思っていたので、アダプターだけ外して。菅笠を奉納した。

 


ガラスケースの中に、もの凄い数の杖が奉納されている金剛杖の供養塔。1本1本がこの地で結願した人の思いが詰まっているかと思うと感慨深くなる。


 ひととおり伽藍をまわって1時間ほど。門前の店の女将さんに誘われて、食事。ここは切り込みうどんをいただく。通り道にあった、竹屋敷さんの系列のようである。疲れた体に鍋焼きうどんのごとく、暖かいうどんが身にしみる。

 土産や、仏具を買い、14時のバスで里へ降りる。ここで、徒歩の旅は結願して終わりだ。乗客は3名。このバスは変則的で、JR造田駅を先回りして、コミュニテイバスを受託している大川バスの本社前(すなわち琴電の長尾駅)に至るようである。どうやら、琴電に対し、本数が少ないJRへの接続が関係しているようであるが、この辺、先人の記事とダイヤが違ったりするので、調べた方が良いようである。

 琴電は志度線、長尾線を全線完乗したので、久しぶりにJRで高松駅にゆき、マリンライナーに乗って、新幹線、特急しなの号のルートで帰途についた。四国の4空港を制覇しようと思っていたが、東予地区あたりから、瀬戸大橋経由の鉄道利用で帰るのが便利な地理になったようで、結局、高松空港とは縁が無かったようである。

 これからはどうしようか。やりのこした事は、自動車でも良いから、お世話になった人たちは元気か、高野山に寄りがてら、四国を一周しようかとも思っている。

結願 88番大窪寺12:00














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