2012年10月6日土曜日

機械式カメラの使い方 SR T101編


 このブログ(Blogger)には皆さんが良く読んでいただいている記事がスコアとして残されるのであるが、機械式カメラの記述についてのスコアが高いのもあって、もはや今、こういったカメラを使える人も年を追う毎に減っていくと思われるので、この辺で小生手持ちのMINOLTA SR T 101を例に機械式カメラの各部の動作や撮影方法をおさらいしてみようと思う。SR T101 に標準と思われる55mmF1.7MCロッコールレンズをマウントした状態である。


1 シャッターボタン。
 説明不要であろう。このボタンを押すとシャッターが切れる。後部パネルを空けた状態でスローシャッターを切って見ると分かるが、後幕が先幕を追いかける、ドラム型フォーカルプレーンシャッター(横走り)と呼ばれているタイプのシャッターである。このカメラの場合、右から左に幕が走り、2の巻き上げレバーを巻くと幕が閉じた状態で右側に戻る構造になっている。

2 巻き上げレバー
 シャッターボタンを押した後でないと動作しない。これを右に巻くとフィルムが1コマ巻かれると同時に、機械式機構のバネ類がチャージされる。通常はシャッターの誤動作防止のため、撮影直前に巻いた方が良い。

3 シャッター速度ダイヤル
 このダイヤルでシャッター速度を決める。このカメラの場合B(バルブ)から1/1000まで設定できる。60の所が赤くなっているが、機械式カメラでのストロボ撮影の標準速度。(ストロボ端子はレンズ取り付け口の左についているが今回は省略)。また、今のデジカメでもそうであるが1/60以下は手ブレの危険があるので、赤マークより低速のシャッター速度は注意が必要である。B(バルブ)モードではシャッターボタンを押している間だけシャッターが動作する。
 また見ずらいがASAと書かれている小窓があるが、ここに入れられているフィルムのISO感度をセッティングする。ISO感度の設定はシャッター速度ダイヤルを一度引き上げて回すと感度設定ができるようになる。(これを忘れると後述の露出計が正常に動かない)

4 絞りダイヤル
絞りはレンズ側についている。絞りダイヤルを回す事によって絞りを調節する。

5 フィルム残数窓。
 撮影する毎に回って何枚撮ったか表示されていく仕組み。S(空)から1、2、3と増えていく加算式なので注意。巻き上げレバーが巻けなくなったらフィルムの終わりである

6 フィルム巻取りレバー兼リヤパネル開放レバー
 爪を持ち上げて反転させる(ダイヤル本体は持ち上げない)と巻き上げダイヤルとなる。爪を反転させると矢印が現れるので、底面、10のボタンを押しながらこのレバーを矢印の方向に回すとフィルムがパトローネ内に巻き込まれる。最後にパチンとクリック感があるまで巻き切って、後は無抵抗でクルクル回るようであれば巻き取り終了。
 そして、このダイヤルごと上に引き上げると下の写真15のようにリヤパネルが開放される。最初にフィルムを入れる時は巻き取り動作をせずにダイレクトに、このレバーを引き上げる。小生も、おっちょこちょいなのでやってしまうのだが、ちゃんとフィルム残数小窓がSになっていて、フィルムが巻かれきっている状態、または空の状態なのを確認してから引くこと。内部にフィルムがあっても保安機構はなく、リヤパネルが開いてしまうので注意。

7 受光面マーク
 軍艦上面に記載されているこのΦを横倒しにしたようなマーク。この位置にフィルムがありますよというマークである。ちなみにデジタルになった今も一眼レフカメラにはCCDの受光面を示すマークとして残っている。




 最初にフィルムを入れる時は6の巻き上げダイヤルを引き上げ、15の状態にすると、開放される。



フィルムはこのような向きに入れて、先端を、若干、引き出す。


そして、先端の舌のような部分を、巻き上げ部のグレーのパーツのスリットに差し込み、フィルムの穴が、凹凸で噛んでいる事を確認する。この状態で蓋を閉める。ここで、フィルムカメラ末期の自動機は自動でマウントしてくれたが、機械式カメラでは2、3枚、空撮りをして巻き上げてフィルムをマウント状態にする。ここで、巻き上げたときに感触があって、「5」の残数カウンターが動いて、表示が1かその先あたりを表示すれば、マウント成功。上手く回転しないようであれば、もう一度蓋を開けて、やり直す。



11 セルフタイマーレバー
 こんなカメラにもセルフタイマーがついている。これを倒して、レバーの裏側に隠れているポッチリのボタンを押すと、ゼンマイ仕掛けでシャッターが落ちる。ジィィィという音とともに、レバーが元の位置に戻って行って、完全に直立するとシャッターが落ちる。

12 ミラーアップレバー
 清掃などでミラーを手動でアップする時に操作する。また撮影時も1/4から1秒レンジあたりでシャッターを切るとミラーショックといいミラーアップの際の振動でブレる可能性がある場合はあらかじめミラーアップをしておいた方が良い。但し、最終型ではレバーが省略されているモデルもあるらしい。

13 レンズ取り外しレバー
 丸いポッチになっているが、スライドさせるとレンズを外す事ができる。

14 プレビューレバー
 このレバーを押し込むとレンズの絞りが動作し、ボケ具合を確認できる。



8 露出計スイッチ
 露出計の電源スイッチ。唯一の電気を使う機構、露出計のスイッチ。自動OFF機構はないので入れっぱなしに注意。左側のBCとはバッテリーチェックの意味で、ファインダーを覗きながらBC位置にして露出計の針が後述の位置に動けば正常である。

9 電池ボックスの蓋
 後述する電池を入れておく場所。布などで抑えて、親指でググッと押しながら左に回すと電池ボックスがオープンする。

10 巻き取りボタン
 前述のように、このボタンを押しながら6のダイヤルを回すとフィルムが巻き取られる。



 さて、ファインダー内である。このカメラは追針式といって機械式カメラとは言え、初心者でも扱い易い方式である。

 ファインダー内部の見方であるが。まずはピント。当たり前であるがMFである。番号は省略したがレンズのダイヤルを回してピントを合わせる。このカメラの場合センターの二重円にターゲットを向けてピントを合わせると、ピントの山が分かりやすく、よく出来ているファインダーである。

A シャッター速度
 透過式の表示なので、サンプル写真が暗くて潰れてしまっているが、一番右側1/1000にシャッター速度が合っている状態。

B 環
 絞りとシャッター速度ダイヤルを操作すると組み合わせで丸い環が上下する。上に行くほど絞り開放側、低速シャッター側となり、露出オーバー側となっている。

C 針
 露出計スイッチを入れるとこの針が動作する。針を追うように環を操作するので追針式と呼ばれる。針はBの環とは逆に被写体が明るいほど下がるのでこれを、針が下がっている時ほど、高速シャッターや絞込みが設定できる。

 右側の指標、赤と青のビックリマークの突起の位置内で収まるように絞りとシャッター速度を決める。露出計の針で見て被写体の明るさがその指針の中にないと暗すぎ(滅多にないが明るすぎ)るという事。写真の状態では夕刻なので、野外でも暗くなっているので、針が上の方を示している。この場合、シャッター速度を下げるか絞りを開放するかして、Bの環とCの針が重なる位置にすれば、露出OKとなる。環の中で上の方、下の方とかで調整すると、露出を1段オーバー、アンダーなどの好みの調整ができる。


 まぁ、これはサンプル写真なのでアレだが、シャッター速度を変えずに絞りを開放側に回して、露出を合わせてみた。ドンピシャ円い環の中センターに針が入り概ね露出はOKである。この状態になればシャッターボタンを押して撮影する。




 このテのクラシックカメラを使うにあたって問題となるのは露出計の電池として使われていた水銀電池MR-9(1.35V)が水銀を使っているため、生産中止になっている事である。現在、一般的に手に入る酸化銀ボタン電池のSR43が比較的近い形状で近い電圧1.55Vなので、針金などで巻いて使うなどの苦肉の策で動作させる事もできるが、電圧が若干違うので露出計の指針が変わってしまうので差場を読まなければならない。
 定価2900円と、少々高いが関東カメラサービスよりアダプターが出ているのでこれを使うと一般的に買えるボタン電池SR43の形状をMR-9に合わせてくれるのと同時に電圧も近づけてくれるので便利である。
 ちなみに8の露出計スイッチをBCモードにしてファインダーを覗き、Cの針が黄いビックリマークの山の所に来ていれば電池の電圧はOK。露出が正常に得られる。小生のSRT101でチェックしてみた所、ドンピシャ。撮影してみた感じも露出は正常に得られているので、アダプターをかましてほぼ正常な露出は得られているようである。



 以上、そんなにカメラに詳しい訳でもない小生なりに解説してみたが、もっと詳しい事は先輩諸氏のサイトを参考にされたい。

付録


関連リンク 関東カメラサービス
 古いカメラのレストア、OHを行ってくれる。小生のSR-T101もレンズにカビは生えてるし、ファインダー内のスポンジが劣化していて酷い有様だったが、レンズはカビ取りして再コーティング。ファインダーは清掃の上、劣化部分のパーツはワンオフで再製作。そのほか、機械機構への注油、糸の張り直し、シャッター速度の計測、調整まで行ってもらった。自らでのレストアを趣味とするなら話は別であるが、費用は約4万円強かかったが、このテのカメラを今、手に入れても状態に問題がある機器が多いと思われるので、不具合があった場合頼りになるであろう。


4 件のコメント:

  1. 3.SSダイヤル
    1/60に色がついているのは、ストロボ同調(シンクロ)SSと思います。
    フォーカルプレーンシャッターなので、
    シャッター幕のスリットがフィルム面を横切る速さより
    速い速度でストロボを焚くと、全面に露光できません。

    12.ミラーアップレバー
    メンテだけじゃなくて撮影の時も使って下さいね。
    ミラーショックによって1/10~2秒位が一番影響を受けます。
    超望遠や長時間露光、こういう微妙なSSの時に使います。
    鉄ではあまり必要ないですけど。

    返信削除
  2. なるほど。取説なしで覚えた事ばかりなので不足が多くてすみません。
    確かにオヤジがストロボを借りて来て使ってるのを覚えていたのですが、どうやってシンクロさせてたのか????だったので謎が解けました。

    返信削除
  3. Rokusukeさん、こんにちは。
    SR-T101、大変懐かしく拝見させて頂きました。
    今はデジカメしか持っていませんが、銀塩一眼を
    使っていた頃は、メイン機ミノルタXDのサブと
    してSR-Tスーパー(101のマイナーチェンジ版)、
    それからハーフサイズのオリンパス・ペンFを
    持っていました。当時はリバーサル/ネガとか
    カラー/モノクロとか2種類のフィルムを併用
    するにはボディは2つ必要でした。SR-Tシリー
    ズは良くできたカメラで、基本設計が良いのだと
    思います。これからも大切にしてあげて下さい。

    返信削除