ゴールデンウィークは新緑の只見線(前編)
ここの所の恒例となった、夏男殿が6エリアから関東へやって来た折の、何故かの東北遠征。3回目の今回はJH1OAP氏も同行する事となったので、那須塩原でOAP氏をピックアップするルートでロケ地を選定した結果、テーマは新緑の只見線という事になった。
現在、只見線は2011年の新潟・福島豪雨の影響で、会津川口と只見の間が依然、不通で復旧の見込みも立っていない。六十里越えの区間は、鉄道が復旧され、新潟方へと出る事ができるが、この季節まだ、道路の方は新潟県側へは出る事ができないようであり、山間部での撮影となると、会津川口から、会津若松までの区間となる。
新緑の山間をゆく只見線と、あわよくば、只見川沿いのダム湖にかかる橋梁で見られる川霧が発生しないかという淡い期待も込めて、会津川口方から只見線へ入ってみた。まずは只見川第一橋梁を見下ろす鉄塔の麓へ。ここは、かつては道路トンネル内から、電力会社の巡視路を登るしかなかったが、近年、遊歩道として整備され、観光地としての撮影として整備されて、行きやすくなったポイントである。しかし、現地についてみると川霧どころか、濃霧。確かに夏場に良く出るものであって、まだ季節的には早いのであるが。
時折、霧が晴れて、第一橋梁が見えた一瞬もあったが、列車が通ったタイミングで再び濃霧となり、現像してみて、初めて、かろうじて列車のシルエットが見えるか否かといった状況。残念だが最初のカットは没となってしまった。ちなみに、この会津若松1番列車は平日は3~4両、休日2両で運転されるようで、今日は、GW中とはいえ合間の谷間の平日であったので、4両と只見線としては長編成でやってきた。SLでもない限り短編成を予測していると慌てる列車である。
只見線 会津西方-会津桧原
α77+SONY 24-70 F2.8T* (70mmAPS-C)
さて、一番期待していた、第一橋梁は没となってしまったが、川口方へ戻る方向で足を進め、只見川第三橋梁付近でやっと霧のレベルが、列車を見渡せるようになった。しかしまだ、橋梁を俯瞰するようなロングショットではキツく、朝2番列車が若松方へと向かってくるまで時間があるので、只見川第三橋梁付近の川畔をゆくコースの広角近距離のポイントで霧が晴れるのを待ってみる。
7時台の早朝とはいえこの季節は太陽はだいぶ高く上がっているだろうに、霧というか山間部なので、雲の中なのだろう。霧がかったダム湖の湖畔を朝2番列車がやってきた。この列車の会津若松到着は9時台。高校のある会津坂下でも8:30付近と、通勤通学に使うには厳しい時間。2両である。ちなみに濃霧でよく見えなかった朝1番列車は4両であったが、会津川口発が5時台後半。この付近は6時台に通過する。
只見線 早戸-会津宮下
α77+SONY 24-70F2.8T* (24mmAPS-C)
山間部へ入る本数の多い時間帯は、第一橋梁の付近の会津宮下駅での列車交換を行うので、山間部でも会津宮下駅に近い撮影ポイントでは、列車が間髪を入れずに立て続けにやってくるので忙しい。このポイントもすぐに川口行列車が後方よりやってくるので、すぐに、至近にある、第三橋梁を望むポイントに転戦する。
さて、確かに橋梁は見えるレベルにまで霧は晴れてきたが、遠方は白く霞んでいて、この距離だと列車はスッキリはしなかった。この付近は只見川を小さなダムが川幅を大きく変える事なく、連続して堰止めている区間で、只見線は高所を只見川第一から第四までの橋梁で高所を通過してゆく。川のようでいて連続したダム湖なので、水面に水流はみられないので、水面はおだやかである。特に、風のない午前中がおだやかなようで、水面に車両と橋梁が映り込む事が多いようである。
只見線 会津宮下-早戸
α77+SONY 24-70F2.8T*
さて、当初の予定では太陽もだいぶ上って明るくなっているはずだったので、会津川口駅のすぐ若松寄りの大志の集落の俯瞰地に行ってみた。
ここは、スキー場付近から取る正面がちに撮る俯瞰地と、只見川の対岸で撮る俯瞰地があるのであるが、対岸俯瞰地は、光線が午後向きであるものの、この天気ではあまり関係ないだろうと思い、行ってみた。しかし、行ってみると、より山間に近い会津川口付近ではまだ依然として霧が深く、距離が長い対岸からの俯瞰では列車が判別できるレベルになかった。どうしようかと諸氏と相談した結果、霧が晴れる公算は少ないとみて、危ない事は避け、仕方ないので会津川口駅付近で近距離で撮れる場所を探す。
ちょい、ちょい走ってゆくと、会津中川付近に俯瞰地ながら、列車が見通せそうで、ロケーションの良い場所を発見した。ちょうど、地元で撮られている方が、ご一緒だったので、情報を頂いたのであるが、本来、このショットより、一段下のポイントの方がスッキリしていて良いようであるが。大志の対岸俯瞰まで一度行って戻ってきた都合、列車の時間が迫っているため、ここで収める事にした。
下のポイントの方が広く見えるようであるが、手前の木々が新緑の感じを出していて、この季節、ここも良いかもしれない。そもそも良いから、地元で通い詰めている方が、ここに居たのかもしれないが。
只見線 会津中川-会津水沼
α7+MINOLTA 50mm F1.7 FUJI PROVIA100
午前中に撮れる列車は会津若松行き3本。会津川口ゆき2本の5本。列車速度が遅いため、山間部の端部と端部なら、列車に追い付ける場合もあって、チャンスは増えるものの、捨て列車が発生したりで効率も悪く。何しろ恐らく曇天による雲中に入っているからだろうか、山間部では霧になるという、悪天候に阻まれて、良好なショットが望めなくなった。朝の若松行きの通学列車が終わると、昼の列車まで3時間ほど時間が空くので、午後に撮る列車の撮影地のロケハンをしながら、あらかじめ、撮りたい個所の構図を確かめつつ一旦、山間部から降りる。
喜多方まで行ってラーメンを食べて昼食とし、磐越西線や只見線の「里区間」のロケハンをしつつ山間部へ戻ってみる。午後に撮れる列車は3本。会津川口からの列車が2本、会津川口へ向かう列車が1本である。
ここまで読んでみて気づく人が居ると思うが、あの山間部の会津川口から降りてくる列車の方が多いのである。実際の所は夜間、会津川口には2本の列車が夜間滞泊しており、朝の通学時間に若松行き3本、川口ゆき2本の運用をこなして、会津川口方に入っている列車は1本となる。そして昼間の運用で、川口ゆき1本、若松ゆき2本をこなすと、山間部に入っている残存列車はここで一度0本となる。
さて、ここで、夏男殿が面白い事を発言した。
「さっき、駅での発車で笛の音が聞こえましたよ。」
そう。ワンマンではないのである。超閑散線区で往々にしてある事なのだが、本数の少なさ故にワンマン化さえされず居るのである。最近までタブレット閉塞だったり、不通区間との兼ね合いや冬季の事など色々なファクターがあるのかもしれないのであるが、事実、只見線には車掌が乗っており、山間の会津川口で最低、4名の乗務員が泊まっているように見える。
そして、夕方~夜間のダイヤであるが、山間部に入る会津川口まで通す列車で見ると、会津川口ゆき3本に対し、会津川口から若松まで山を下ってくる列車は1本のみと。終列車時には会津川口に2本の列車が泊まっている事になっている。
災害で不通になる前、タブレット閉塞だった時代。会津川口は山間の小駅とはいえ、運転上は要衝であり、閉塞方式故に運転要員も擁し、季節によっては夜明けやらぬ時間帯に若松方、小出方に分かれて列車が発車していたようである。早朝の会津川口へ寄っていないので、現在の様子は定かではないが、それでも山間の小駅に2本が夜間滞泊しており、そのうち朝1番列車は、平日は3~4両で運行されているようである。
(後編に続く)
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