2015年7月16日木曜日

台風11号 ほぼ改修が竣工した武蔵水路が活躍する

台風11号の影響で、埼玉県で大規模な大雨が降った。実は、しばらく、武蔵水路の改築事業については、工事の「たるみ」などが散見されたため、更新を見送っていたのであるが今回その威力をまざまざと見せ付けられたので。
今回の改修の目玉は、能力を従前の通常通水の毎秒、35トンから、毎秒50トンから55トンに拡大し、内水排除(つまり洪水の除去能力)の向上を図る事であった。
今回その本体部部についてはほぼ、竣工に近い状態となったようで、その様子を追ってみる。

2015年7月16日。この日は台風16号の影響で朝から激しい、雨が降っていた。しかしながら、通常目にする雨の範囲であったため、9時ごろまでは通常に営業を行うが、どうも様子のおかしい事に気付く。
まず、地域の内水排除がうまくいっていない。そして武蔵水路を見ると、どうも通常の放水量の35トン程度の水が流れているのである。嘘だろう。と思ったが。どうにも本当で、市域の水かさが増すばかり。
そしてとうとう事件が起きた


赤見台地区の調整池が限界に達し。もう淵まで水がある状況。警戒でやってきた消防隊員と話すと、どうにも、市内あちこちでこんな状況であるとの事。とりあえず、北部はもっと酷い状況だから、武蔵水路が通水しているようだから、早く停めて欲しいと要望を出しておいた。



不幸にも赤見台地区の内水を排除するはずの新水門はまだ稼動しておらず。どうにもしょうがないのであるが、もっと元荒川の水位を落としてもらわないとダメである。そこで、水資源機構に直接電話して聞いてみたところ「内水排除やってます、流れているのは全て洪水です」という、衝撃的な返答。イヤイヤ。まさか35トンも内水が流れているのか。今まで目にした、内水排除モードでは、せいぜい10トン強といった所であった。



さらに水路を見ると凄まじい事に。もう毎秒50トンはあるのではないのかというくらい、センターの隔壁ギリギリの流量である。まさかこれが、本当に内水なのかと思い、元荒川の新川面水門と、忍川の新佐間水門を見てみた。両方とも竣工したばかりのようであるが、(車が止まっていたので、おそらく手動であるが)稼動している模様。写真は佐間水門であるが、忍川から、凄まじい流量で水が武蔵水路に流入している。

しかし、新佐間水門で、口切溢れんばかりの、この水量であるから、更に下流の新川面水門での、元荒川から武蔵水路への水の流入は、限定的なものとなり、元荒川の水位の上昇が激しくなってきた。


この画像を流して、危険。氾濫の恐れありと、Twitterでつぶやいたら250RTをいただく程の関心であったが、川面水門でなかなか出て行かないため、どんどん上流部へ負荷がかかかり、水位が上昇する一方である。通常は川面水門が最終関門となって水を吸い込んでくれるのだが、今日はそれも間に合わない。完全に開ききっていないように見えたので、互いの水位を調整しつつ逆流しないようにしていたのかもしれない。


糠田排水機場付近。写真版が少ないが、荒川は上流部での降雨がさほどでないらしく、流れに余裕があったのが助かった。排水機を使う事なく、通常排水で間に合う量で、通常排水で目測で50トンほど流れていた。


しかし、氾濫せずとも、水の行き場を失った排水路の至るところから、水が噴出し。通行止めなどの箇所が増えていった。通行止めを行う市役所の道路部門も、看板やバリケードの数に制限がある中。設置に苦労していたようである。




これはうちのインチキな雨量計の値であるが、どうも早朝から、雨が降り出し、その後は力強いカーブで降り続きお昼までの10時間ほどの間に200mmを降らせたようである(あくまで、私のセンサーの計測値)

雨量はお昼の12時すぎに200mmを記録した後は、ほぼ小康状態となり、15時には水が引き出した。いやはや。これで水防警戒は大丈夫と思い、熊谷で予定している講演会に出る事ができたのであるが。
いやいや、まぁ、色々諸事情あって、更新していなかった武蔵水路事業であるが、今回50トンへの増強がされていなかったら元荒川の氾濫に至っていた可能性が高く。まだ初年度にして、威力を発揮した事になる。まだまだ、本来の運用では開くはずの川面と赤見台の内水の放水門が開かなかったなど、課題はあるが。今後の正規の運用開始が待たれる。




動画版もあります。

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