2009年8月19日水曜日
安曇野ちひろ美術館
小生、美術館とか史(資)料館巡りが好きだ。旅行途中に偶然見つけてフッと入るのが好きである。今回は前々から目にはしていた場所であるが、いつもは先入観なしで入る。すると、こう、色々と新鮮な発見があるのである。
坂を下ってやってきた、ここの美術館は安曇野ちひろ美術館。
いわさきちひろ
かみさんは知っていた。絵本作家である。
そういえば子供用の絵本のカタログに載っていた。
いわさきちひろは子供をモデルなしで水彩画で描き続けた画家。ちひろが活動していたのは東京であるが、戦後、両親が開拓者として入植していたのが、この安曇野は松川の地。東京にも美術館があるが、折に触れてちひろが訪れ、過ごした、安曇野の地にも美術館が開かれた。ここにはちひろの作品をはじめ、世界の絵本が多数収蔵されており、自由に閲覧できる部屋もある。今度は息子と一緒に来たくなるそんな雰囲気の美術館である。
ちひろの作品で描かれているのはのはちょうど小生の息子くらいの年頃の子供だろうか。物心つき始める淡い年齢の子供の心が淡いタッチの水彩画から伝わってくる。戦後まもなく、当時、アクリル絵の具が普及しだした頃であったが、ちひろは敢えて水彩画に拘り、世界を高めたそうである。絵本独特の「ベタァーっ」とした色使いではなく、あくまでも淡く描かれている。
しかし、水彩画でこんなに迫力のあるものを見たことがない。多分、小生が父親になって間もない親であるからかもしれないが、笑い声や泣き声をはじめ、子供独特の物事を発見するときの感情といったような、子供の息遣いが聞こえてきそうなのである。こんな事、30を超えて父親にならなければ判らなかったであろう。明らかに20代では感じ取る事のできなかったであろう感動である。
小生もたまにウェブの企画で猛烈にヘタな絵を描くが時代は進みPCによる作画。もう、エンピツも持たない。ベタ塗り度ではアクリル絵の具を凌駕する。流石に子供に絵を描いてあげる時は、PCという訳にはいかないのであるが、紙ではどうもシックリ来ないため、タカラの「せんせい」を愛用している。これまたベタ塗り度の高いアイテム。ベタ塗りの絵ばかりに接してきたからであろうか、この水彩画には衝撃的な感動を得た。さっきから感動した感動したと小泉元首相ばりに大げさすぎるが、意外な事に事実今まで来た美術館の中でいちばん感動したかもしれない。
水彩画がこうも訴えかけてくるものだろうか。30分居てすぐに信濃松川駅まで歩けば、大糸北線の旅ができたので、内心、ざっと見て出発してしまうのも選択肢にあったのだが、入館後まもなく、そんな気持ちはすっかり何処かへ行ってしまい、すっかりユルリとした時間を過ごし始めてしまった。
列車まで時間があるので、館内を見た後はお土産に、息子に展示で見たお話の絵本を買ってあげて、安曇野が見渡せる屋外の芝生へ。
「ふあああぁぁぁぁ」
「天気がいいねぇ」
広い空、青い田んぼ、大きい山並み、かつてちひろが目にしていただろう景色の中、、、、芝生で。
寝る。
プルルルル出発の時間ですよ。
さてと。そろそろ出発するとするか。
ムックリ起き上がって時刻表を見ると。11時05分に松本行きがある。日本海側へ抜ける北回りのルートはもはや乗り継ぎが悪い時間になってしまったので、松本へ進路を取る事にした。ここから信濃松川駅と松本側の隣駅の北細野駅はほぼ等距離なので、運賃が安いであろう松本側の北細野駅へ向かう事にする。
続く。
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