2010年1月5日火曜日

機械式カメラの魅力

件のフィルムを入れっぱなしにしてしまった小生の愛用の機械式カメラ。

SR T101

死んだ親父が使っていたやつであるが、戸棚の中に20年放置され続け、カビが生えていたものを、レストアし、現代に蘇った、昭和40年代のカメラである。当時、最も成功した一眼レフカメラの一つであり、7年の長きに渡り製造され続けた。我々が今EOS7Dを欲しがるような感覚で当時20代だった親父は購入したのだろう。

このカメラ、レストアしたのがだいたい5年前。関東カメラサービスに出し、全部解体し、機械式の機構を調整、カビの生えたレンズやファインダーをクリーニングし、新品のような美しさで帰ってきた。以来、ドライボックスで大事に管理してはいるが、時として野山を駆け巡るような撮影をしているが、以来、トラブルはなく、確かに堅牢なようである。



「機械式カメラの魅力って何ですか?」

と聞かれると、やっぱり

メカニカルな操作感だろうか?




まずはカメラの上面右側。この部分がシャッターボタン等があるカメラの心臓部であるというのは今も昔も同じ。左側のデカいダイヤルがシャッター速度の調整ダイヤル。右側の丸い大きい部分がシャッターボタン。下についているのがフィルムの巻き上げレバー。、、、と説明しないと最近の「子」には分からないだろう。




撮影前にグリグリグリっと。フィルムを巻き上げる。この力でバネが巻かれシャッターを動かす原動力となる。シャッターボタンを押し込むと、ファインダーがミラーアップし、レンズに連動して絞りが絞られ、シャッター幕が動作する。その間、一瞬。このカメラの場合、最速、1000分の1秒の速度でバネ仕掛けが動く。機械式、機械式と言うが、昔のカメラというものは、こういうバネ仕掛けで、精密にシャッター他の機構を動かしている。



カメラ底部。ここに電池ボックスと露出計のスイッチがある。機械式というがこの世代のカメラには露出計がついている。ここのスイッチを入れるとファインダー内の針が上下に動作し、その針めがけて、絞りとシャッター速度のダイヤルを操作すると適正露出が得られるようになっている。このあたり操作も電気を使ってるのは露出計のメーター部分だけであり、絞りと速度のダイヤル操作に合わせてファインダー内で別の針が動くしかけになっており、この辺りもいかにもメカニカルである。

ちなみに
「電池が切れた!」
と言うと、一般的なフィルムのカメラの場合、全く動作しなくなる事を言うが機械式カメラの場合、露出計が動かないだけなので、小生では到底無理であるが、目測で露出を算出できるプロフェッショナルな頭があれば、写真を撮ることは可能なのである。

最近の「子」は電池といってどんな物を想像するか分からないが、それはボタン電池である。露出計のみを動作させるにはそれで十分なのだろう。そうそう切れるものではないが、このスイッチが曲者で、最近のカメラのように自動電源OFF機能なんてある訳なく、電源を切り忘れると当たり前であるが保管してある間も「ずぅーーーっと」入りっぱなしになる。旅先などで電池が切れてる事に気づくと「ピンチ!」流石に素人には撮影不能に陥るので、親父が慌てて電池を売っているカメラ屋を探していたのを覚えている。

しかし、このボタン電池が泣き所で今は製造中止になっている。適当なサイズの電池で代用してしまうと、露出計が正確な値を示さないようで、小生は関東カメラサービス製のアダプターをかまして現代のボタン電池でも概ね適正な値を示すように改造してある。




美しいですねぇ。礼文島越しに見える利尻島、利尻富士。このマッシーンにリバーサルフィルムを与え、昭和の名機が蘇った瞬間。



この日は天候にも恵まれ、素人でもなかなか良い画が撮れた。



でも時として上手くいかないのが、このテのカメラ。曇天だし、手前と奥でコントラストの差がありすぎ、思った表現が出来てない、、、。難しい。

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