「地方私鉄は乗って育てましょう」と言われても、不便だったり、乗っていては撮影が難しかったりするものであるが、今回は乗り鉄をしながら撮影旅行へ行ってみる事にした。しかも、たまには宿泊付きで、湯田中温泉へ。
旅立ちは長野駅から。15:37発のA特急「ゆけむり」に乗る。北陸新幹線長野開業時に寺院風の駅舎が取り壊された事が、風情が無くなったとなげかれていた善光寺口であるが、北陸新幹線開業で、木柱風のデザインの庇が完成して、金沢駅前とも似た現代美術的なトラディショナルなイメージ(何だそれ)な感じに、再び面目を一新した。「ゆけむり」は元小田急ロマンスカーHiSE車を使用した1000系特急列車で特急料金100円がかかる以外は展望席も含めて自由席。ちなみに元JR253系成田エクスプレスを使用した車両は2100系「スノーモンキー」と呼ばれており、こちらには元グリーン個室が残されており、予約制の個室として「Spa猿〜ん」の愛称で1室1000円(特急料金別途)で利用できる。
今回は「ながでん・バス2DAYフリーきっぷ」で出かけてみる。これは長野電鉄の鉄道線の特急を含めた全線と長電の長野エリアのローカルバスに乗車できる。3200円と往復の料金より高いが、撮影しながら乗り降りをすると料金がかかるのと、帰りは屋代線の代行バスに乗って帰ろうと思っていたので、フリーきっぷにしてみた。ちなみに鉄道線のみ2日間乗り放題の「長電フリー乗車券」は往復運賃で元が取れる2320円で特急料金は別途である。
40分ほどの乗車で湯田中駅へ。せっかく湯田中へ出てきたのに生憎の雨模様。反対側には古い駅舎が残されているが、こちらの現役の駅舎も昭和の高原ブームの頃の雰囲気をよく残している。列車が到着すると往年の名歌「美わしの志賀高原」が流されていた。この歌、かれこれ30年前(年齢がバレる)小学校の林間学校で志賀高原に行ったときに、バスの中で添乗員のおじさんwが歌っていたのを思い出すが。いやはや、なんとも、更に昔の1960年代の志賀高原のブームの時代を思い出す。
外国人観光客が多いからか、湯田中温泉の価格設定は平日にも関わらず高めだった。「じゃらん」で、平日直前プランなるもののがあったので、申し込んでみたら、値段の割に部屋がクラシックなので「むむぅ」となったが、食事は今度は値段に対して良い物が出てきた。エコプランみたいで、布団の上げ下げは「セルフ」。このタイプは初めてだ。泊まっている人もやはり外国人、それもアジア系ではなく西洋系の人ばかりである。一人旅向けプランって言うが、隣室に泊まっていたのは、ヨーロッパ系と思われる年配のご婦人の一人旅だった。
翌日は撮影をしながら移動してみる事にする。2日間有効の特急とバスが使えるフリーきっぷで来てみたが、10時になるまで、湯田中に乗り入れてくる特急が無い。宿でゆっくりしてから長野へ戻るパターンならそれでも良いのかもしれないが、朝食後早々に長野へ向かって善光寺等へ行こうとすると特急が無いので、各駅停車となる。そのかわり早朝時間帯の列車は長野へ直通する列車が多いようで、この列車は、信州中野で特急に接続した上に、時刻表上は運用が分かれているが、列車そのものは15分ほど停車した後、長野まで直通する。車内はほとんどが外国人といった様相である。
さてしばし停車した後、列車番号を変更して列車は長野へ向けて出発したが、信州中野の先、桜沢で降りてみた。まだ雪渓をいだいた、山塊をバックにした写真を撮ろうと思ったのであるが、昨日の雨に比べればまだ良いが太陽は出たり入ったりで、光線状態は良くない。列車を降りてまずは手近な踏切で。折り返し湯田中始発となる特急が「スノーモンキー」でやって来た。
長野電鉄 都住-桜沢
α77+SONY 24-70F2.8T*
長野電鉄 都住-桜沢
α77+SONY 24-70F2.8T*
α77+SONY 24-70F2.8T*
フリーきっぷの利を生かして、信濃竹原まで取って返す。ここは鉄橋を渡ってくる列車が撮れる有名なポイントであるが、ここに来る頃には、空模様が怪しくなってきて、ぶ厚い雲が配給されてきて太陽が陰ってきてしまった。この時間に戻ってきたのは11時を過ぎると湯田中から鉄橋を渡って来る列車が順光となるのであるが。まずは元営団日比谷線3000系を使用した3500系列車を撮影。長野オリンピックに向けた主力車として導入されたが、8500系の投入や屋代線の廃止で勢力を減らし、信州中野-湯田中間の山岳区間における折り返し運用をメインとしている。
長野電鉄 夜間瀬-信濃竹原
α77+SONY 24-70F2.8T*
湯田中から戻って来る特急を撮って帰ろうかと思ったが、特急が来る時間には、いよいよ雲が怪しくなってきて、4月だと言うのに、みぞれが舞いそうな空気になって来た。交換駅が近いので、非常にゆっくりとした速度で「スノーモンキー」がやって来た。背景の山が雲にかくれかかっているのもさることながら、光線の弱さに、春というか冬のような寒々とした画となった。
長野電鉄 夜間瀬-信濃竹原
α77+SONY 24-70F2.8T*
α77+SONY 24-70F2.8T*
あまりにも寒いので、引き上げて須坂へと足を進める事にした。須坂からは2013年に廃止になった屋代線の代行バスで屋代へ出て戻る。須坂では30分ほどあったのであるが、蔵の街並みまでは歩くと結構ありそうなので、30分のインターバルでは中途半端。何か飲食店はないかと駅前のデパート風のビルを覗いて見ると、何と白看板になっていて、建物の上部分は閉鎖。隣に「イオン」があったが、イオンならちゃんとしたフードコートくらいあるだろうと思ったが、ここも心躍るような店がなく。いやはや、長野電鉄の車両基地のある駅だし、何しろ長野市の隣の都市であるのにこの寂しさは何だろう。ウロウロしているうちに昼飯を食べ損ねたまま、屋代線代行バスがやって来た。
長野電鉄屋代線は長野電鉄の車両基地のある須坂から、しなの鉄道(旧信越本線)の屋代までを結んでいた線で、かつては河東線というのが正式名称であった。廃止には紆余曲折があって、LRT化などの議論もされたようであるが、結局廃止されて長電バスによる運行となった。長電バスによる運行であるので、フリーきっぷにて乗車ができる。
代行バスは上信越道と旧屋代線に沿いながら国道403号をゆく。廃止から4年ほどであるが、線路敷は急速に整備が進み、早くもサイクリングロードなどに生まれ変わっていたり駅跡では再開発が行われていたりする。旧駅舎が残っている場所も多く、バスも国道から一旦、逸れて駅跡に停車する。それが、所要時間を引き延ばしているようでもあり、また道も狭小であり、須坂から屋代までは途中、旧松代駅で乗り継いで、1時間半程かかる。
ちょうど高校の下校時間と重なったためか、松代からの区間では、バスにしては乗車率の高い、立ち客で満員となった状態で、しなの鉄道の屋代駅に到着した。
去年からの雨男傾向からまだ脱してないようで、今回も初日は見事に冷たい雨。撮影に回った翌日も、雨天の中の最悪な状況は避けられたものの、撮影成果的には、はかばかしくないものとなった。長い信濃の冬は終わりつつあって、木々の蕾は膨らんで来ているようであるが、開花はもう少し先のようであった。
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