2017年8月24日木曜日

山間にて、夏の名残を惜しむ


信州に来て1年が過ぎた。

多忙だった夏の繁忙期が終わったので、フラりと写真を撮りに出てみた。

聖高原。どことなく響きの良い駅名であるが、知ってはいたが、行ってみると信州の「高原」とつく地でありながら、目立ったものはない。かといって、寂れ切っているかというとさにあらず、駅前の国道はひっきりなしに車が通るし、市街地を貫くようにして走っている高速道路は長野と松本を繋ぐ幹線であるから、それこそひっきりなしに車が駆ける。

観光地の喧騒から離れた山間の地。そんな雰囲気の、市街地から外れた見通しの良い場所に陣取ってみる。頭を垂れはじめた稲穂をお題にするのも良いが、敢えて車輛の面を強調し、背後を黒黒とした山としてみた。この山もあと数か月もすれば、色づき、そして葉の落ちた赤茶色い冬の山となってしまう。

篠ノ井線 冠着-聖高原
α77+MINOLTA 80-200 F2.8 HIGHSPEED APO

高原独特のジリジリと刺すような日差しの中、特急列車が矢のごとくやってきた。

「速い。」

覚悟はしていたが、単線といえど直線区間、振子電車は容赦なく加速してゆき、車体をくねらせ、山間に消えていった。


篠ノ井線 冠着-聖高原
α77+MINOLTA 80-200 F2.8 HIGHSPEED APO



一寸の間、今度は重々しいブロワー音が響いてくる。特急列車とは対照的に牛歩のごとく全く近づいて来ない。

継ぎ目を奏でるH級電機の断続音とともに、港の製油所へ帰るタンク列車が去っていった。

背後の高速道路を観光バスが駆けてゆく。

賑やかだった信州の夏も、もうすぐ終わり。

色づく秋の季節は、もうすぐそこまで来ている。



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