2016年6月12日日曜日

430MHzFM伝搬実験(25エレK1FO投入)




今年の430MHzFM伝搬実験は6月の11(土)と12(日)に行われた。ちょうど田植真っ最中となってしまい困ったのであるが、なんとか予定を空けて11日は渡良瀬遊水地移動から12日は常置場所からの運用となった。

今回のテーマは開発中のK1FOの25エレのいよいよ本番での運用である。今回は、渡良瀬遊水地移動チームで参加となり、自作アンテナ群が同じ場所に並ぶ個所において、ガチで性能差が出るシチュエーションとなった。



総勢6台が並び。夜の部へと進んでいく一幕。各局のシステムを見ると、やはり、実績のあるK1FOタイプが多い。隣はJE1CRG局のアンテナ。給電部が面白い形をしている。


このグループでは断トツの飛びウケをみせる。JN1JFQ局のK1FO25×2×2一見平凡であるが、各所の精度が良いのと、補器類がツボを押さえてある、メインラインは同軸管。
リグはFT-847のベアフット出力(当たり前なのだが)と、定番のアイコム系ではないし地味目、パワー勝負、定番リグが全てでない事の実証。


事実。このグループでは50Wキッカリ出ないモービル機を使う方も居て。FMの伝搬実験ならではである。アンテナがエゲつなく、直下プリは入っている言え、普通~に売っているアンダー4万円のモービル機のベアフットで岩手や、三重まで飛ぶという。コンディションが良ければ、モービル機でも青森や四国も狙える。


さて、私のシステムであるが、この間、調整したK1FOに、移動で使っているアンテンのプリアンプを直下に入れた構成。エキサイターはIC-7100M。リニアは川越リニアである。川越リニアは70Wというイケナイ売り方をしているが、実際は35Wファイナルで、何か小細工がしてあるらしく。70Wという極限は定格を超える15V以上を入れた時の話で。通常の13.8V安定化電源ではおおよそ50W弱といった所である。IC7100Mの430MHz10%パワーで押してて使用だから、およそ3.5Wで押して、計測値見ると50W出るか出ないかといった所である。ちなみに川越の卓上型のプリも内臓されている。

K1FOであるが、定評のあるスタイルを踏襲しつつも、MMANAで解析しなおして、独自配列にリファインをしている。設計にあたって、定番タイプから変更した点は工作を容易にする事。みて分かるように放射器から遠いエレメントではミリ単位での加工を排しており、それでいてかつゲインが取れるようにしてみた。

給電部は最近のデジタル簡易無線アンテナにありがちな特殊な形状をしており、RF、RA、D1エレメントで基本的な放射特性を出して、D2エレメントば微妙に長く、D3エレメントが微妙に長いのが特徴。

これは徒歩でも持ち歩ける5エレであるが。少エレメントでゲインを求めるとこのような形になりやすいらしく。結局3人とも同じような形、配列となった。我々の間で県央型と呼んでいるが、小型軽量でよく飛ぶので、一昨年はこの5エレで結構遊ばせてもらった。



さて、この小型八木の心臓部を使って大型化したのが今回の25エレであるが、大型化するにあたって、エレメント支持と、マッチングをK1FO式としてみた。エレメント配置はなんとなく似ているが、寸法は25エレとなると大きく変わるようだ。

これが大型25エレ化したエレメントのデータ


No.形式位置(m)間隔(m)縦幅(m)
1垂直DP0基準位置0.345
2垂直DP0.120.120.338
3垂直DP0.170.050.31
4垂直DP0.270.10.32
5垂直DP0.360.090.31
6垂直DP0.460.10.29
7垂直DP0.610.150.29
8垂直DP0.770.160.29
9垂直DP0.940.170.29
10垂直DP1.120.180.29
11垂直DP1.310.190.28
12垂直DP1.510.20.28
13垂直DP1.720.210.28
14垂直DP1.940.220.28
15垂直DP2.170.230.28
16垂直DP2.410.240.27
17垂直DP2.660.250.27
18垂直DP2.920.260.27
19垂直DP3.190.270.27
20垂直DP3.470.280.27
21垂直DP3.760.290.26
22垂直DP4.060.30.26
23垂直DP4.370.310.26
24垂直DP4.690.320.26
25垂直DP5.020.330.26


給電部分のクローズアップがこんな形であるが、やはり不思議なエレメント配置となる。

そして、先端方向に行くにしたがって、工作が簡易になっている。変更した点はエレメントの工作を容易にしたのと、給電部のサイズに少エレメントでハイゲインとなる小型八木のものを踏襲した。給電方式はTマッチ。エレメントはジュラコンブッシュでフロートさせるのはK1FOと同じ。




性能が伴わないとけないのであるが、実用上の設定でシミュレートしてみると約22dbiとありがちな25エレ八木の性能はありそうだ。メーカーアンテナより指向性が緩やかで、不要輻射が多いように見えるが、MMANAのパターンチャートのスケールの都合でありがちなチャートにあててみると悪くないようだ。





さて机上の理論ばかりで絵に描いた餅ではしょうがないので、実際に運用してみる。伝播実験は各エリアのDX局が一斉に出て来るので、同じ場所で運用すれば、他局のアンテナといやおうがなしにガチンコバトルになるので、本格テストにはもってこい。というか、、、この日のために用意したのであるが。

今回はスタックでの運用、これで調子が良ければ、あと2本同仕様で作って、2列2段化するし、具合が合悪ければ、再調整となるのであるが。



使ってみた感じ、スタック仕様としては健闘したほうであった。同じ25エレでも、2列2段の仕様と何が違うかというと、浮き上がってきた信号の強度と持続時間で、浮き上がるタイミングはほぼ同じようで、2列2段の方が浮いてきた信号に対するチャンスの時間が長く強い。セッティングがキマっている場合はスタックでも2列2段が聞こえている信号が全く「ノー感」とう事は少ないようで。悔しい所で交信ができないか、レポートが悪いかどちらかのパターンが多いようである。

OM局のアンテナはラインや補器類も含めて、トータルバランスで洗練されているので、まだまだ、粗削りな様相だが。DXグループに参加できるだけの、送りと耳を持っている事は確かなようである。ここに居る人は、やってはいけないQROをしたからといって解決策にはならないというスタンス。送りだけ強ければ、何等かの破綻が起こる。もちろん、様々なファクターで送りと受けのレポートが違うというのはありがちな事で。いちがいには言えないが。


さて、今回のリザルト。交信局リスト。コンディションが悪く遠方、岩木山、5エリアなどが取れなかったので、25エレを使えればいけるでしょうという定番距離であった。しかし逆に言えばちゃんと25エレ並の仕事をしてくれた。

しかし、ロケーションの妙とは凄いもので、常置場所では難しい2エリアが比較的楽だったように思われる。

JK7TFK/7 岩手県奥州市
8J790Y/7 岩手県奥州市
JH7VIK 宮城県名取市
JP7FST/7 福島県田村市
JL7GBP/7 福島県田村市
JP2MYG/2 愛知県北設楽郡豊根村
JG2AGY/2 愛知県北設楽郡豊根村
JG2QOR/2 愛知県北設楽郡豊根村
JN2TZB/2 愛知県北設楽郡豊根村
JK2EBB/2 愛知県北設楽郡豊根村
8N2EJT/2 愛知県北設楽郡豊根村
JE9VWK/9 福井県今立郡池田町
JH1GSQ 埼玉県川口市
JG1FXK 埼玉県越谷市
JH1WXC 埼玉県入間郡毛呂山町
JR1DDL 埼玉県上尾市
JR1HRL 埼玉県川口市
JR2EIA/2 三重県津市
JF2BKA/2 三重県鈴鹿市
JH1NOB/1 神奈川県横須賀市
JI1NJP 東京都立川市
7M2ADF 東京都東久留米市
JL2XMW/2 愛知県豊橋市
JG2QPQ/2 愛知県田原市
JH2IHT 愛知県豊橋市
JS2QIK 愛知県知多郡美浜町



さてと、いちおうの成果を見たので、2列二段化が、、、これまた、先が長いな。8月末に行われる次回のFM伝播実験までには何とか間に合わせたいが。