2015年10月18日日曜日

50MHz(6m)用移動アンテナ(完成編)


50MHz移動用アンテナであるが、いちおうの完成をみたので、ご報告。


途中経過までは昨年の秋の記事

http://rokusukevillage.blogspot.jp/2014/12/6m.html

をご覧いただきたいのであるが。このアンテナのコンセプトとしては。

ブーム長4m以内

4エレ

なるべくゲインと帯域を広くとれるようにする


をコンセプトにMMANAを叩いてみたのであるが、試行錯誤を繰り返した結果4エレでゲインと、帯域が広く取れる点がみつかった。どうも原理的には分からないのであるが、このエレメント間隔で、そこそこ納得できるゲインと、帯域が取れるようである。







No.形式位置(m)間隔(m)横幅(m)
反射器水平DP0基準位置3.1
給電部水平DP1.51.53.002
導波器1水平DP2.512.77
導波器2水平DP3.71.22.6



これが、最終的に出た、エレメントの長さと、間隔である。昨年の仕様より全体的に、若干、エレメント寸法が長くなっている。現物合わせの素人仕事なので、これをコピーしたからといって同じように再現できるとは限らないので。その辺はご了承いただきたく。



自由空間における推測特性。ゲインに関しては、このクラスのアンテナにありがちな数値の自由空間、9dbi前後といった数値。劇的に良くなったのは帯域特性。昨年の仕様では、50.200あたりに同調しているものの50.500あたりからダイポールになってしまい。51MHzのFM周波数になると逆F/B比になるというパターンの欠陥があったのであるが。どうやら解消されたようである。その変わりどういう訳か同調点が51MHzの若干下付近となってしまい。結果的に広帯域になるという。本当はSSB向けにもう少し同調点を下げると良いのだが。ドツボにはまりそうなのでやめ、、、。


これは、リアルグラウンド12mHくらいの高さに上げたと仮定してのパターン。シミュレーションソフトは14dbiくらいあると言っているのだが、本当カヨと。まぁ、平地の堤防から、グラウンド・ウェーブと思われる、2エリア、鈴鹿の移動局の声が聞こえたりしたので、そうそう悪くもないと思うのだが。この仕様は、バンド内なら周波数が変わってもFB比が変わるくらいで、交信上大きく感じる変化はないと出ている。

しかし、どうもMMANA上で正確に実物の、SWRとインピーダンスが再現できない。ここにシミュレートされているSWRと、インピーダンスは実物とは別物である。

概ねSWRがシミュレート上で悪くても、実際がそれほどでもなければ、運用してみてのゲインの方はそれなりにある感じがする。ちなみに良く言われる部分でSWR1.0=インピーダンス50Ωにならない件では、アナライザーを見ながら調整したが、結局はSWRの最良点で妥協したものの、だいたい40Ω台~50Ω台の数値なので、メインで使用する周波数帯に合わせたSWR優先でヨシとした。

どうもMMANA上でのシミュレートは、ゲイン、パターンはほぼ実物と同じように出るようであるが、素人仕事ではSWRまでは、追い込めず。K1FOタイプでエレメント間隔が固定されてしまっているので、ゲイン、パターンはそれで間違いないと、踏んで、ショートバーのスライドで対応する事とした。


エレメント支持方式は、給電エレメントをアースできるTマッチの利点を生かして、ブーム貫通式のK1FOタイプに改良した。角パイプのブームにエレメントを差す構成であるが、これは自分の加工精度では丸パイプでは全エレメントの直角を出すのが難しいと判断したからで、本当は丸パイプの方が、軽量で価格も安い。

センターの出し方は、現在試行錯誤中なのであるが、単純にビニールテープを巻いた部分を留め具として、そこで貫通したエレメントが停止する構造で、リサイクルタイラップで止めると、風などで破壊される事はまずないようだ。この辺のシステムはまだ試行中。Tマッチは給電エレメント部もアースできる利点を生かして、全エレメントがアース結合されている。ワニ口クリップはUバランからのアースが出ている部分で、バラン部のアースを確実にするためのものである。


Tマッチセクションは御覧のとおり、無垢銅棒にクリップをハンダつけして、給電エレメントに噛みつける構造である。調整できるように、スライド式としてみた。丁度良い寸法の銅棒と銅パイプの組み合わせがなかったので、内部に刺さる側を微妙に曲げる事で、安定を取ようにしてしまった。念のため、テナグリスを塗布した。

本来6mのTマッチ部は30cmほどの筈であるが、どうも、片側1/8λの75cm付近。Tマッチ部全体で1/4λの1.5m付近で同調しており、ここでショートバーをずらす事で明確にSWR変化が起きている。何故これだけ広い間隔になってしまったのか、不明であるが、30cm付近ではスライドしても何もおこらず、また特性も悪いので、結果が良ければ、原理不明でも、ヨシとしてしまった。


試行錯誤を繰り返した、汚い給電部で申し訳ない。最終的に実績が出たので、アクリル板に固定したのだが、最初の想定より大幅に給電セクションが大きくなってしまったのが難点となってしまったが。平衡、不平衡変換は、5D2Vケーブルを使用した、ごく一般的なUバランでTマッチセクションに入力するような構造である。


今回こだわった点がここであるが、ブーム貫通式にして、エレメントの組み立ても簡単にする事であった。

6mともなるとエレメントも両翼の長さで3m弱と長くなるので、よく売られている1mモノのアルミ棒の部材、3本で約3mというのは分かるのであるが問題はブームへの支持。そこは、貫通式とする事にして、センター部での分割を回避し、強度を保つ事ができるようにした。またエレメントの組立にあたっては、アウトドア用テントのフレームのように、内部にゴム紐を通す事によって、各エレメントを探す事なく、しかも確実に組み立てられる構造とした。ここでも先端エレメントの長さはビニールテープでのストッパーで長さを出す構造だが、本当はストッパーはもっとしっかりした物で固定したい所。

ブームへの固定方法は前述のとおり、ビニールテープでセンターを出して、タイラップで固定しているが、ブームを貫通しているのと紐で繋がっているので、万一風に煽られても、空中で大きく分解する事はないようだ。


折りたたんだ状態のエレメントと給電部。エレメントは1m弱の束でまとまったが、前述の通り、給電部が30cmほどのコンパクトなものから、1.5mほどの大型の3分割ものになってしまった。この辺の原理はよく分からないのだが、給電部が大型な方が成績が良かったのでこれでヨシとしてしまった。

以上、昨年秋から続いた50MHz(6m)用の移動用アンテナの制作はこれで、一区切りとする。次回、この経験をフィードバックした、430MHz25エレK1FO×4の制作に移る事にする。実際の所は、いきなり430MHzの大型アンテナを作るより、より、周波数的なラフな50MHzで、データが得られたのが良かった。



※このアンテナはデータのみの提供であり、実物の提供、販売はありません。Tマッチ、Uバラン部については、OM諸氏の50MHz用自作アンテナの記事を参考にさせてもらいました。今回詳細データは乗せられずすみません。自作される方は、とりあえず、OM諸氏の記事を検索くださいますようお願いします。

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